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ドクターブログ
「かゆみを抑える」から「炎症を忘れる」肌へ。皮膚科専門医がデュピルブマブを推奨する理由
こんにちは。当院では日々、多くのアトピー性皮膚炎の患者さんと向き合っています。
『夜、かゆみで目が覚めてしまう』『鏡を見るのが辛い』。
そんな声を耳にするたび、皮膚科専門医として、もっと根本的な解決策を届けたいと強く感じてきました。
これまでの治療の流れでは、
「ひどくなった症状(起きてしまった火事)を、抑える(消す)ために治療をする」
ことが主流でした。
しかし今、治療のスタンダードは『火事が起きにくい肌質そのものを目指す』ステージへと進化しています。
アトピー性皮膚炎を「火事」に例えて理解してみよう
1. 正常な肌:火の気のない、静かな家
健康な肌は、警備員(バリア機能)がしっかりしていて、家の中に火の気は一切ありません。外から変な人が入ってこようとしても、バリアが追い返してくれます。
2. アトピーの肌:常に「くすぶり」がある状態
アトピー性皮膚炎の患者様の肌の下では、目に見えない小さな「種火」が常にパチパチと燃えています。これが「タイプ2炎症」です。
- バリアの穴: 警備員が手薄なので、外からダニや埃(アレルゲン)という「放火魔」が簡単に入ってきます。
- かゆみ: 放火魔が暴れると、火が大きくなり、熱を持って「かゆみ」として脳に伝わります。
3. ステロイドなどの外用薬:目の前の火を消す「消火器」
かゆみがひどい時にステロイドなどの外用薬を塗るのは、燃え上がった火に「消火器」を吹きかける作業です。
- 問題点: 表面の火は数日で消えますが、床下の「種火(慢性炎症)」が消えるまでに時間がかかるのがアトピー性皮膚炎の肌です。種火(慢性炎症)まできっちり消し切るためには、根気よく消火器をかけることが大切。よくなったと思って塗るのをやめると、また種火から火が燃え広がる(再燃)のは「種火(慢性炎症)」が消火しきれていないためです。
4. デュピルブマブ:火の元を遮断する「元栓締め」
ステロイドなどの外用薬だけでは消しきることができないような大火事もあります。そのような場合こそが、デュピルブマブ(デュピクセント)のような新しい治療薬の出番です。 これは消火器ではなく、「ガスや燃料の元栓を締める」役割を果たします。
- 根本治療: 火事の燃料(炎症を引き起こす物質:IL-4/13)を根元でカットします。
- 結果: 元栓が締まれば、種火すら起きなくなります。すると、熱でボロボロになっていた壁(肌のバリア)をゆっくり修理する時間ができ、結果として「火事の起きにくい、丈夫な家(健康な肌)」に戻っていくのです。
皮膚科専門医の視点「なぜ炎症コントロールなのか?」
1. 表面的な「かゆみ」の裏にある「慢性炎症」
アトピー性皮膚炎の肌の内部では、常に「タイプ2炎症」と呼ばれる過剰な免疫反応が起きています。見た目が少し落ち着いていても、根底にある炎症が消えていなければ、少しの刺激で再燃を繰り返してしまいます。
2. デュピルブマブが変えた「治療の質」
デュピルブマブ(デュピクセント)は、この炎症の元となる特定の物質(IL-4、IL-13)をピンポイントでブロックします。
- バリア機能の回復: 炎症が収まることで、肌本来のバリア機能が戻り、乾燥しにくい肌へと導かれます。
- 「かゆみのループ」を断つ: 強烈なかゆみが引くことで、掻き壊しによる悪化を防ぎ、肌のキメが整います
専門医としてのこだわり
当院では、ただ薬を処方するだけではありません。 患者さん一人ひとりのライフスタイルや症状の重症度、これまでの治療歴を詳細に分析した上で、ステロイドをはじめとする既存治療で火事を消しきることが難しいと判断した場合には、最適なタイミングでの導入をご提案しています。
保険診療という枠組みの中で、いかに効率よく、かつ確実に高い治療効果を実感していただけるか。皮膚科・美容皮膚科の両面から肌を見ている私たちだからこそ、『見た目の美しさ』まで妥協しない治療を追求しています。
アトピー治療を諦める必要はありません。炎症を正しくコントロールすれば、肌は必ず応えてくれます。 今の治療に不安がある方、もっときれいな肌を目指したい方。ぜひ一度、私たちにご相談ください。あなたの『一生ものの肌』を共に守っていきましょう。
この記事の監修者
咲愛会 きじま皮フ科クリニック 理事長・院長
医師・医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本アレルギー学会専門医
神戸大学医学部医学科卒業
皮膚科、アレルギー科、 美容皮膚科を中心に、一人ひとりの状態を考えて、オーダーメイド皮膚医療を行うことを心がけています。
一人ひとりが輝けるよう、 皮膚のお悩みをサポートしていきたいと考えています。
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