膠原病(皮膚にあらわれるサイン)
膠原病(皮膚にあらわれるサイン)
「顔に蝶のような形の赤みが出ている」 「指先が冷えると白や紫に変色する」 「手指のこわばりと発疹が続いている」
膠原病は、自分の免疫が自分の体を攻撃してしまうことで、皮膚・関節・内臓などにさまざまな症状を起こす病気の総称です。本来、免疫は細菌やウイルスなど「外敵」から体を守る仕組みですが、何らかのきっかけでその攻撃が自分自身の組織に向かってしまうことがあります(自己免疫)。攻撃の対象が全身の結合組織(コラーゲン=膠原線維を含む組織)に及ぶため、「膠原病」という名前がついています。
そして実は、膠原病の多くは皮膚に最初のサインがあらわれます。皮膚は外から見える臓器なので、内臓の変化より先に異変に気づけることが多いのです。皮膚科は膠原病の早期発見の入り口となる診療科であり、当院では膠原病に伴う皮膚症状の診療経験が豊富な皮膚科専門医が診察にあたります。
膠原病の多くは比較的女性に多く、働き盛り・子育て世代で発症することも珍しくありません。「疲れのせい」「年齢のせい」と見過ごされやすい症状から始まることがあるため、皮膚のサインを知っておくことが早期発見につながります。
皮膚にあらわれる主なサイン
- 蝶形紅斑:両ほほから鼻すじにかけて、蝶が羽を広げたような形の赤みが出ます。日光に当たると悪化しやすいのが特徴です。
- レイノー現象:寒さやストレスで指先が白→紫→赤と段階的に変色します。冷たい水に触れたときや冬場に気づく方が多い症状です。
- まぶた・手指の発疹:まぶたの腫れぼったい赤紫色の変化(ヘリオトロープ疹)や、手指の関節の背面にできるガサガサした発疹は、皮膚筋炎の手がかりになります。
- 皮膚の硬化・指先の潰瘍:指の皮膚がつまみにくいほど硬くなる、指先の小さな傷がなかなか治らない、といった変化は強皮症でみられます。
- 光線過敏:日光に当たった部位にだけ発疹が出る・強くほてるという反応です。
- 全身症状を伴う発疹:原因のわからない発熱・関節の痛みやこわばり・強いだるさが発疹と同時にある場合は、皮膚だけの病気ではない可能性を考えます。
代表的な疾患
- 全身性エリテマトーデス(SLE)・皮膚エリテマトーデス:蝶形紅斑や光線過敏が代表的なサインです。皮膚だけにとどまるタイプ(皮膚エリテマトーデス)と、腎臓など全身に及ぶタイプ(SLE)があります。
- 強皮症:皮膚が硬くなる病気で、多くはレイノー現象から始まります。手指のむくみ・つっぱり感で気づかれることもあります。
- 皮膚筋炎:まぶたや手指の特徴的な発疹に、筋力の低下(腕が上がりにくい・階段がつらい等)を伴います。発疹が先行して出ることも少なくありません。
- シェーグレン症候群:目や口の乾燥が主な症状ですが、輪っか状の発疹など皮膚症状を伴うことがあります。
当院での検査
皮膚症状の診察に加え、血液検査で膠原病の可能性を評価します。血液検査では、自己免疫の目印となる自己抗体(抗核抗体など)や、炎症の程度、貧血・腎機能などを確認します。どの自己抗体が出ているかは、膠原病の種類を見分ける重要な手がかりになります。
また、発疹の診断を確定するために、皮膚の一部を小さく採って顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を検討することもあります。皮膚症状の見た目と検査結果を突き合わせて判断することが、診断の第一歩になります。
他科との連携
膠原病は全身の病気のため、内臓の精査や専門的な治療が必要と判断した場合は、膠原病内科・リウマチ科のある医療機関へ責任をもってご紹介します。その際は、当院での診察所見や検査結果をまとめた紹介状をお渡ししますので、紹介先で一から検査をやり直す負担を減らせます。
診断後の皮膚症状のケアは、当院で継続して診療いたします。「全身の治療は専門病院で、日々の皮膚のことは通いやすい近くの皮膚科で」という分担で、無理なく治療を続けていただけます。
受診の目安
上記のような皮膚のサインに心当たりがある場合、特に「発疹に加えて、発熱・関節痛・強いだるさがある」場合は、放置せずご相談ください。早期発見・早期治療が経過を大きく左右します。
受診の際は、「いつから・どの部位に・どんなときに悪化するか」(例:日光に当たった後、寒いとき)をメモしてお持ちいただくと、診断の助けになります。症状が出たり引いたりする場合は、出ているときの写真をスマートフォンで撮っておいていただくのも有効です。
よくある質問
Q. 膠原病かどうか、皮膚科でわかるのですか?
膠原病の多くは皮膚症状が診断の手がかりになります。皮膚科での診察と血液検査で可能性を評価し、必要に応じて専門機関へおつなぎします。
Q. 検査は保険がききますか?
診察・血液検査は保険診療です。
Q. 膠原病と診断された後も通院できますか?
はい。全身の管理は専門科と連携しながら、皮膚症状の治療・スキンケアは当院で継続して対応いたします。
Q. 症状があるとき、皮膚科と内科のどちらに行けばいいですか?
発疹・皮膚の硬さ・指先の変色など「皮膚の変化」が中心なら、まず皮膚科で構いません。皮膚症状から膠原病が疑われる場合は、必要な検査を行ったうえで適切な診療科へおつなぎします。入り口を迷って受診が遅れることがいちばんもったいないので、気になる変化があればまずご相談ください。
Q. 健康診断で「抗核抗体が陽性」と言われました。膠原病でしょうか?
抗核抗体は、健康な方でも一定の割合で陽性になることがあり、陽性=膠原病ではありません。大切なのは、数値の高さと、皮膚症状・関節症状などの有無をあわせて評価することです。ご心配な場合は結果票をお持ちのうえご相談ください。
Q. 膠原病は治りますか?
種類や重症度によって経過はさまざまですが、多くは長く付き合っていくタイプの病気です。一方で治療法は年々進歩しており、適切な治療で症状を抑えながら日常生活を送れる方が増えています。だからこそ、皮膚のサインの段階で早く見つけることに意味があります。
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この記事の監修者
咲愛会 きじま皮フ科クリニック 理事長・院長
医師・医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本アレルギー学会専門医
神戸大学医学部医学科卒業
皮膚科、アレルギー科、 美容皮膚科を中心に、一人ひとりの状態を考えて、オーダーメイド皮膚医療を行うことを心がけています。
一人ひとりが輝けるよう、 皮膚のお悩みをサポートしていきたいと考えています。
